テーマ
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遠隔医療
遠隔医療とは、医者と患者が直接対面せずに、主に情報通信機器を活用してオンライン上で診療を行うこと。離島や山岳地帯など近隣に病院がないケースや難病の診断などでの活用が期待されている。とりわけ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が進行するなかでは、直接対面による感染リスクを避けられる診療手段として高い関心を集めている。米国では遠隔医療の市場規模は、この数年で年20%近い成長を示したとみられているが、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に利用者数は急増しており、その成長が一段と高まることは確実視されている。米国のオンライン診療トップ企業であるテラドック・ヘルスは、スマートフォンアプリなどを活用して自宅からビデオチャットで医師の診療を受けることができるサービスを提供し急成長している。また、医療テクノロジー企業でデジタルヘルスプラットフォームを提供するリヴォンゴ・ヘルス(NASDAQ:LVGO)、アイリズム・テクノロジーズ(NASDAQ:IRTC)などが関連銘柄に挙げられる。
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エンジニアリング
エンジニアリングとは高度な技術システムの構築全般を指し、世界規模でのプラント建設企業をはじめさまざまな業態の企業がある。世界的な環境規制の強化でLNG(液化天然ガス)プラントへの需要が高まっているほか、新興国の経済発展に伴い化学プラントに対する需要も強い。エンジニアリング企業は原子力発電や空港、ダムなどの建設といった幅広い分野に関わっている。中近東などのプラント建設需要との関連性から、原油価格の動向に株価が左右されることも少なくない。米国には世界的な有力企業が多く、世界最大級の総合エンジニアリング企業のフルアーやKBR、ジェイコブズ・エンジニアリング・ グループなどがある
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エンターテインメント
アメリカのエンターテインメントは映画や音楽、ミュージカル、ゲームなどによって形成され、一大産業といってよい市場規模と影響力を持つ。同国は映画のブロードウェイ、演劇のハリウッドという2つの“聖地“を擁し、その最新動向は世界の関心を集める。ショービジネスの本場でもある同国には世界中から多くの観光客も訪れる。ハリウッドが世に送り出す映画作品は巨額投資と最先端技術の投入、精緻なマーケティングにより、当初から世界市場を前提に製作される。また、米国の音楽市場も世界一の規模を誇り、世界的なアーティストを多く輩出している。ただ、同国のエンターテインメントの中核をなす映画、音楽産業はともに、ストリーミング配信の急速な広がり、巨大な市場規模を後ろ盾とする中国の台頭というビジネスの枠組みの変化に直面している。エンターテインメント関連銘柄には、傘下にスポーツ専門局や3大ネットを抱えるウォルト ディズニーやタイム ワーナー、ネットフリックスなどがある。
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AIインフラ
ドナルド・トランプ氏が米国の第47代大統領に就任した翌日の2025年1月21日、トランプ大統領と共同記者会見に臨んだソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は4年間で5000億ドルを投資し、米国にAI(人工知能)インフラストラクチャを構築する「スターゲート・プロジェクト」を発表した。SBGと「ChatGPT」を開発するオープンAIが新会社を設立し、初期出資者にはオラクルとアブダビ首長国の投資会社MGXも名を連ねる。また、初期の主要テクノロジーパートナーとしてアーム・ホールディングス、マイクロソフト、エヌビディア、オラクル、オープンAIが参画する。同プロジェクトでは全米にAI開発向けのデータセンターを建設するほか、膨大な電力需要を賄う発電施設も併設する。トランプ大統領は同プロジェクトにより10万人以上の雇用が創出され、AI分野における米国のリーダーシップ強化に寄与するものと評価し、プロジェクトを支援する構えを示している。同プロジェクトの経済的なインパクトは大きいとみられ、インフラ整備に関わる企業には商機をもたらす。また、アルファベットやアマゾン・ドット・コムなどのビッグテックの動向も注目され、AI業界の勢力図に変化を及ぼす可能性がある。4月にはエヌビディアが台湾積体電路製造(TSMC)、鴻海精密工業(フォックスコン)などとの提携を通じ、4年間で最大5000億ドル規模のAIインフラを構築すると発表。トランプ大統領が推し進める高関税政策を背景に、AI半導体工場などの生産拠点を米国に移管する動きが顕在化している。一方、SBGとオープンAIは日本でもAIインフラの整備を進める計画であり、AIインフラ構築は国境を越えた大きなムーブメントとなりそうだ。
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AIスピーカー
人工知能(AI)で音声に自動応答するスピーカー端末のこと。「スマートスピーカー」とも呼ばれる。人間が話しかけるだけで音楽再生やニュースの視聴、情報の検索などさまざまな操作を可能とし、「ポスト・スマホ」の本命とも目されている。2014年に米アマゾンがAI「アレクサ」を搭載した「アマゾン・エコー」を発売して以降、主に米国で人気となっており、米グーグルも16年から「グーグルアシスタント」を搭載した「グーグルホーム」を展開。スマートフォンでモバイル市場を一変させた米アップルは「シリ」搭載の「ホームポッド」を18年2月に発売したが、投入タイミングの遅れと高価格がネックとなり、2社の先行を許す状況となっている。一方、米国に次ぐ世界第2位の市場である中国では中国企業の製品投入が相次いでおり、なかでも同国首位の座にあるアリババは世界でアマゾン、グーグルに次ぐ位置につけている。
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AI創薬
製薬会社にとって年々増え続ける新薬の開発コストと期間をいかにして低減するかは大きな課題となっている。創薬において1剤当たりの研究開発費は米国で平均1400億円、開発期間は10年以上とされるが、その一方で成功率は3万分の1とも言われるハイリスク・ハイリターンのビジネスとなっている。この課題を克服する鍵として期待されるのが、人工知能(AI)の活用である。医療はデジタル化が進んでいる分野の一つだが、特に生体情報などビッグデータの収集、医薬品候補物質の探索、実験の積み重ねによる薬効・安全性の検証といった膨大なプロセスを要求される創薬においてAIは威力を発揮する。近年、機械学習やディープラーニングなどAIを巡る技術が飛躍的に進化したことで、新薬開発の効率化とともに上市の確率を大幅に高め得るツールとして注目を集め、医薬品業界での導入が広がっている。
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AIチップ
AIチップとは、機械学習による画像・音声認識、ディープラーニング(深層学習)による膨大な演算処理を高速・効率的に実行できるように設計された、AI(人工知能)に特化した半導体をいう。AIの演算処理では並列計算の処理能力に優れるGPU(画像処理半導体)が主に用いられてきたが、高性能なAIを実現するために、よりAIに特化した半導体の開発が米国のテック企業を中心に推し進められている。また、これまで主流のデータセンターを中心に構築された「クラウドAI」は、データ転送処理のコスト、リアルタイム性、データの秘匿性といった課題を有するが、AIチップを組み込んだ現場の端末機器に推論処理を担わせることで、これらの課題の解決に資することも期待される。製造業、自動運転車、ヘルスケアなどへと活躍の場が広がるAIチップの市場規模は、調査会社の米Gartnerによると2023年の534億ドルから2027年には1194億ドルに達すると予測されている。株式市場では生成AIの登場を機に、AIビジネスの成長性に対する期待が高まっており、その基盤となるAIチップに関わる企業の動向からも目が離せない。
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欧州株ETF
欧州株により構成される指数と連動するETF。
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欧州関連
欧州(ヨーロッパ)は世界6大州の一つ。言語、文化、宗教の異なる大小さまざまな約50カ国が属し、各国間で利害も交錯するが、域内の経済・通貨統合、共通外交・安全保障政策などを目的に掲げ、1993年にEU(欧州連合)が発足した。現在27カ国が加盟し、統一通貨のユーロは、米ドルに次ぐ国際通貨として存在感を増している。EUは米国、中国に次ぐ世界3位の経済圏(名目GDPベース)として重要な地位を占めており、域内には世界的な大企業を数多く擁する。また、環境関連の規制で事実上の世界標準を握るなど、標準化戦略による国際的な主導権の確立に向けた動きも注目される。2020年1月には英国がEUを離脱(ブレグジット)したが、その英国やEU未加盟国の企業も含めて広義の欧州関連として位置づけられる。
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大型株ETF
S&P500、ラッセル1000など大型株で構成された指数をベンチマークとするETF。
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オフィス
景況感や企業マインドによりオフィス需要は大きく影響を受け、一般に景気の回復局面はオフィス空室率の低下と賃料の上昇をもたらす。世界経済の中心地である米国では都市へのビジネス機能の集積もオフィス需要を下支えする。好景気下ではスタッフの増員など規模拡大へ動く企業も多く、オフィス移転の動きが活発化しやすい。こうした新規・移転を含むオフィス需要の高まりはオフィス家具、事務用品などの購入・買い換えなども刺激し、関連企業に恩恵をもたらす。
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オフィス回帰
2019年末に発生した新型コロナウイルスの感染拡大は社会経済活動に大きな影響を及ぼし、ビジネス面ではテレワークの導入が本格化した。これに伴い、オフィス通勤は急速に減り、家庭で仕事をする時間が増えた。しかし、ワクチンの普及などで新型コロナに対する警戒感が後退。リオープニング(経済再開)が本格化するなかで、オフィス回帰の動きが強まっている。これまでテレワークの推進に積極的だったIT企業にもリアルでの対話の重要性を再認識し、従業員に出社を求めるケースが増えてきている。アマゾン・ドット・コムとデル・テクノロジーズは週5日の出社を従業員に要請したほか、グーグル(アルファベット)、メタ・プラットフォームズ、アップルが週3日の出社を求めるなど流れが変わりつつある。こうした動きを背景に、需要が急減していたビジネス関連製品や服飾品などに復活の動きが強まっている。オフィス回帰に絡んでは、具体的にはオフィス家具や設備機器、ビジネス用のスーツや靴、カバン、それに化粧品などの需要押し上げが期待されている。
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オミクロン株対策関連
新型コロナウイルスの「オミクロン株」は、2021年11月に南アフリカから報告された変異種の一種で、WHO(世界保健機関)から「懸念される変異株(VOC)」に位置づけられた。それまで感染の主流となっていた「デルタ株」に比べ重症化リスクは低下したとみられる一方、その感染力は強く、新型コロナにかかりにくいと言われていた若年層でも感染者数が急増している。デルタ株からの置き換わりが急速に進み、22年に入り世界各国でコロナ感染の主流となっている。特に、夏場にかけてはオミクロン株の派生型の「BA.5」の感染が拡大しており、各国でワクチンの3回目あるいは4回目のブースター接種が進められている。オミクロン株には中和抗体を人工的に増やす抗体医薬の多くが効きにくい可能性が指摘されており、一定の効果が見込める抗体医薬は現在のところ限られる。その一方で、ウイルスの体内増殖を防ぐ新型コロナ飲み薬の効果は期待ができるとみられている。更に、感染者数の急増で検査キットや高機能マスクの需要増も見込まれている。
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オムニチャネル
オムニチャネルとは、実店舗とECサイトなどのシステムを統一し顧客を取り込むこと。顧客にネットとリアル店舗の垣根を感じさせずに、シームレスな購入体験を提供することを目的とする。米最大手の百貨店、メーシーズが2011年に「オムニチャネル企業」を宣言し世界的に脚光を浴びた。実店舗で商品を確かめネットの最安値で注文する顧客を取り戻すための戦略としても注目されたが、O2O(オンライン・ツー・オフライン、オフライン・ツー・オフライン)の取り組みを含め、小売業などでの総合的な顧客戦略として関心が高まっている。関連銘柄には、メーシーズのほかノードストローム、ターゲット、ナイキなどがある。
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オランダ関連
オランダの国土面積は日本の九州とほぼ同じであり広くはないが、名目GDPでは世界17位(2018年)に位置するユニークな特色を有する国家である。同国は江戸幕府が取った鎖国下においても唯一門戸が開かれていた西洋の国であり、日本との関わり合いは深い。ビールやランドセル、おてんばなどオランダ語が語源となり、私たちの日常生活にとけ込んでいる言葉も数多い。また、立憲君主国である同国の王室と日本の皇室が深い交流で結ばれていることもよく知られている。 欧州の海の玄関口であるユーロポートを擁するオランダは交通の要衝であり、17世紀には貿易・金融の中心地として栄え、今日でも貿易が国を支える柱の一つとなっている。経済は開放的で進取の気性に富んだ側面を持つ。ロイヤル・ダッチシェルやフィリップス、ユニリーバ、エアバス、ハイネケンといった多国籍企業を輩出し、世界最大の半導体製造装置メーカーであるASMLやNXPセミコンダクターズといったハイテク企業も生んでいる。 また、ABNアムロやINGグループといった世界的な金融機関を有し、首都アムステルダムは英国のEU離脱により金融センターとしての存在感の高まりも予想される。 国名からは風車やチューリップといった牧歌的なイメージが浮かぶが、同国は米国に次ぐ世界2位の農産物輸出国であるほか、花の卸売市場は世界シェアの6割を占める規模を誇る。限られた農地、冬の短い日照時間など環境には恵まれてはいないものの、その農業はセンサーやLEDを駆使し機械化やハイテク化、集約化が高度に進められており競争力は強い。 かつてはオランダ病と呼ばれた経済低迷に苦しんだ時期もあったが、克服のための処方箋としていち早くワークシェアリングを導入するなど、柔軟な社会構造を持つ点も注目されよう。